脳神経外科

脳神経外科

当科は病院の特色である主要診療科としての役割を果たすため、脳神経疾患全般に対し、高度救命医療を24時間体制で対応する。従来からの開頭手術等は勿論のこと、脳血管内手術等の高度な専門医療を科学的根拠と経験に基づき安全な最新、最良の医療を目指します。

以下の症状についてご説明しておりますので御覧ください。(クリックするとスクロール可能です)

慢性硬膜下血腫

軽く頭部を打撲して数週間後に片麻痺や物忘れが出てきます

頭部打撲して幸い「たん瘤」だけですんで良かったと思ってから時間がたってから、頭蓋内に出血が貯留してくる病気です。特に、ご高齢者の方お酒をよく飲む方、持病で「サラサラ薬」を内服している方肝機能が悪い方が罹り易いです。若い人でも起きることがあります。

慢性硬膜下血腫

頭部打撲の外力が、頭蓋骨の内側にある硬膜を充血させて、血液成分の貯留と被膜形成を引き起こし、被膜内血腫が徐々に増大します。最終的に血腫に脳が押しやられて、変形を起こし、神経症状が出現してきます。

なぜ慢性硬膜下血腫の進行は遅いのか?

手術は局所麻酔下に、頭皮に約3cmの穿頭(頭蓋骨に小さな穴)を設けます。硬膜をと被膜を切開して、血腫を生理食塩水で洗浄し、閉創して手術は終了です。症例によってはシリコン製中チューブを数日間だけ血腫腔に留置します。この手術は局所麻酔で実施できるため、心肺機能が低下している高齢者でも行うことができ、短時間で手術を終えられるメリットがあります。再発することが、10%程度あります。再発症例では同じ手術を再度行うか、全身麻酔下での、開頭血腫除去術を行います 。

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症例によっては初めから開頭血腫除去術を選択する場合があります。

長く放置されて、器質化した慢性硬膜下血腫の場合

術後の経過

多くの方がすぐに麻痺や歩行障害が改善して、抜糸する7日から10日程度で退院が可能になります。

治療可能な認知症

特発性正常圧水頭症が見過ごされているかもしれません

年をとって、物忘れ、歩行障害(前かがみで両足の幅が広がるような)、尿失禁を起こす病気の中に、特発性正常圧水頭症(とくはつせい・せいじょうあつ・すいとうしょう)があります。一見、アルツハイマー型認知症に似ていて、ご自身での判断は難しいのが現状です。この病気は「治療ができる認知症」と言われており、これまでに「年のせいだから仕方がない」、「認知症と言われたので、あきらめた」といって見過ごされてきているかもしれません。ぜひ一度、脳神経外科の診察を受けられることをお勧めします。

 

脳・脊髄は頭蓋脊髄腔の中にあり、その周りは脳脊髄液(髄液)で満たされています。この髄液の循環が異常を起こすと、脳の中にある脳室が拡大して水頭症になります。水頭症の原因は脳出血、脳腫瘍など様々あります。この中でも特発性正常圧水頭症では老齢に伴って発症し、はっきりした原因はまだわかっていません。

正常圧であることから、症状は緩除に進行する

診断と治療までの流れ:

まず、頭部CT検査で脳室拡大の有無を確認します。高齢で認知症と脳室拡大があれば、必ず特発性正常圧水頭症というわけではありません。特発性正常圧水頭症では特徴的な脳室拡大の形がありますので、脳室の形態や精神神経所見を外来で診察します。

その後、疑い症例であると判断されれば、治療可能であるか診断するために検査入院して、腰椎穿刺による髄液排出試験などのスケジュールを決めます。検査の結果、診断基準を満たせば、シャント手術(短絡手術)を行います。脳室ないしは脊髄腔から腹腔の間を細いシリコン製チューブでつないで、髄液を腹膜に流す手術を行います。 手術は全身麻酔で行います。

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突発性正常圧水頭症の画像診断
タップテスト
V-P シャント術/脳室−腹腔シャント術
特発性正常圧水頭症の術前画像

特発性正常圧水頭症の術前画像。脳室に特徴的な拡大を認める。

椎脊髄腔から腹腔内にシャント・チューブ

腰椎脊髄腔から腹腔内にシャント・チューブが留置された。

めまい、ふらつき、耳鳴

めまい、ふらつき、耳鳴の症状をきたす原因疾患は様々なものがあり、メニエール病などの内耳性由来、大脳・小脳橋角部・脳幹など病気による中枢神経由来、心因性、心疾患などの循環器系由来、糖尿病による深部知覚神経障害に由来するものなど多岐にわたります。したがって的確な診断と適切な治療には容易ではなく、時間がかかることがあります。特に脳神経外科領域の疾患は、危険な疾患のサインであることがあり、診断と治療の遅れによって、命に係わることや、後遺症を残すことにつながることがあります。軽い症状と侮らず、一度専門家による診察を受けてください。

 

脳神経外科では先ず、めまい、ふらつき、耳鳴を訴える患者さんへは、CTやMRIなど画像検査で脳実質や脳血管に異常がないか調べます。想定している脳神経外科領域の疾患には椎骨脳底動脈系の動脈解離や脳梗塞聴神経腫瘍をはじめとする脳腫瘍などがあります。これらの疾患が否定されたのちは、じっくり時間をかけて診察をしていくことができます。

バクロフェン髄注療法(ITB療法)

対象疾患は重症な痙縮(けいしゅく、麻痺などにより間接が拘縮・固縮)による異常姿位になります。

脳卒中、脊髄損傷、痙性麻痺、脳性麻痺など脳脊髄の病気によって、筋肉の収縮が強くなりすぎて、自分の意志とは関係なく筋肉が硬くなってしまう状態です。関節が曲がってしまい、まっすぐ上を向いて寝むれない、足が開かないのでおむつ交換しにくい、など療養生活において不便があります。

筋肉を収縮させる神経の働きを弱めるバクロフェンという薬剤を、手術で体内に植え込んだポンプに注入して、持続的に脊髄に投与して痙縮した筋肉を軟らかくする治療です。

診断と治療までの流れ:

まず外来受診していただき、バクロフェンが効果あるのか1~2日程度、検査入院していただきます。検査は腰椎からバクロフェンを脊髄腔に1回注射します。

効果があって、副作用がなければ、患者さんやご家族と相談して、腹部の皮下へのポンプの植込とポンプから伸びるカテーテル・チューブを腰椎の脊髄腔に挿入する手術を行います。入院期間は2~4週間です。

  • 3か月以内に1回の頻度で、外来でお薬をポンプに補充します。
  • 約7年に1回はポンプの電池が切れることから、ポンプ交換術が必要です。
  • バクロフェン髄注療法はいつでも中断・中止できます。その場合、治療前の状態に戻ります。
腰椎脊髄腔にカテーテル・チューブを挿入
腰椎脊髄腔にカテーテル・チューブを挿入
腹部の皮下へのバクロフェン・ポンプ植込術
腹部の皮下へのバクロフェン・ポンプ植込術