脳神経外科

脳神経外科

当科は病院の特色である主要診療科としての役割を果たすため、脳神経疾患全般に対し、高度救命医療を24時間体制で対応します。従来からの開頭手術等は勿論のこと、脳血管内手術等の高度な専門医療を科学的根拠と経験に基づき安全な最新、最良の医療を目指します。

以下の症状についてご説明しておりますので御覧ください。(クリックすると該当箇所へ移ります)

はじめに

青森県には「あたる」という言葉があります。「あたる」とは、医学用語では脳卒中になった状態を示していますが、この様な言葉は他の地域にはありません。「あたる」を英語で表現すると「stroke」になり、この用語は的を中てる(あてる)から医学用語としては「脳卒中」として用いられています。偶然にも青森の言葉と国際公用語が同じように使用されていることになります。これは青森県で多くのかたが脳卒中で苦しんできたことを反映したものと思います。

脳卒中になってから(あたってから)脳神経外科を受診しても後遺症を残すので、「あたる」前に予防と治療が必要です。是非、下記の軽症な段階、前兆の段階で脳神経外科を受診してください

めまい、ふらつき、耳鳴

ありふれているけど、甘く見てはいけない症状 「めまい、ふらつき、耳鳴」

めまい、ふらつき、耳鳴の症状をきたす原因疾患は様々なものがあり、メニエール病などの内耳性由来、大脳・小脳橋角部・脳幹など病気による中枢神経由来、心因性、心疾患などの循環器系由来、糖尿病による深部知覚神経障害に由来するものなど多岐にわたります。したがって的確な診断と適切な治療には容易ではなく、時間がかかることがあります。特に脳神経外科領域の疾患は、危険な疾患のサインであることがあり、診断と治療が遅れれば、命に係わることや、後遺症を残すことにつながることがあります。軽い症状と侮らず、脳神経外科の受診をお勧めいたします。

 

 

脳神経外科では先ず、 CTやMRIなど画像検査で脳実質や脳血管に異常がないか調べます。想定している脳神経外科領域の疾患には椎骨脳底動脈系の動脈解離や脳梗塞、聴神経腫瘍をはじめとする脳腫瘍などがあります。これらの疾患が否定されたのちは、さらに時間をかけて診察をしていきます。

頭痛・頭が重い

ありふれているけど、甘く見てはいけない症状 「頭痛・頭が重い」

頭痛はありふれている病気ですが、必ず一度は病院で脳神経外科などの専門家の診察を受けて、自己判断による市販薬のだけで済ませないで、適正な治療を受けましょう。

 

日本人は3人に1人が頭痛で苦しんでいます。頭痛は大きく一次性頭痛(機能性頭痛;画像検査で異常がない頭痛)、二次性頭痛(器質性頭痛;脳卒中など検査で異常が捉えられる頭痛)、神経痛の3つにわけられ、その原因疾患は多岐にわたります。多くは偏頭痛緊張型頭痛ですが、一次性頭痛に含まれます。一方で二次性頭痛では脳卒中や脳腫瘍など、また神経痛では三叉神経痛や後頭神経痛など脳神経外科による精密検査と治療が必要になります。大切なのは「いつもの頭痛」、「頭痛薬を飲んで我慢しよう」と診察を先延ばしにしないことです。ちゃんと脳神経外科の診察を受けて、必要であればレントゲン、CT、MRIなどの検査を受けましょう。先延ばしすることで悪化して、後遺症や命に係わる状態になってしまう病気があります。例えば、椎骨脳底動脈解離の初期は、後頭部から肩口にかけての「ピリピリとした痛み」で発症します。この段階で診断するには、MRI検査が必要になります。痛みを我慢して、放置すると血圧が上がって、解離が進行して、くも膜下出血や脳幹部(脳の中でも生命維持の機能を持つ)脳梗塞になってしまいます。その他、老齢性変化である変形性頚椎症でも二次性頭痛の原因になりますので、当院を受診して脳神経外科や整形外科の診察を受けてください。大切なことは診察を受けて、画像診断を行ったうえで、二次性頭痛かどうか判断します。その結果一次性頭痛であれば、内服治療になります。ただし、代表的な病気である偏頭痛と緊張型頭痛とでは、「頭痛薬の種類が異なります」。

 

偏頭痛:脳の血管が収縮と拡張することで頭痛が発生する。

中学生ぐらいから増えてくる一次性頭痛のなかでも習慣性、周期性がある頭痛として、偏頭痛が有名ですが、決して「頭の左右のどちらか片方が痛むもの」を言い表しているのではありません。診断をする場合でも、モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)などとの鑑別が必要になり、やはり脳神経外科の診察が必要です。治療はスマトリプタン製剤を内服します。

 

緊張型頭痛:頭・頸部・肩の筋肉が緊張して頭痛が発生します。

冬の寒さ、クーラーによる冷え、コンピューター操作のような同じ姿勢の維持、によって筋肉内の血行が低下して頭痛になります。治療は消炎鎮痛薬や肩こり体操などです。

 

稀な頭痛の原因:
眼瞼下垂による頭痛

瞼

瞼をよく擦る習慣の人、コンタクトを長期間使用している人などは上瞼(上眼瞼)を引き上げている眼瞼挙筋と眼裂にある瞼板との付着が緩るみます。その結果、眼裂が狭小化するので、視野が狭くなります。顎を上げて、前頭筋に皺を寄せて眉毛ごと引き挙げるようにしながら見るため、頭や肩の筋肉が凝って、緊張型頭痛が起こります。治療は当院での形成外科では専門の先生が手術を行います。「瞼が垂れ下がっているし、頭がいつも痛い」方は受診を勧めます。

慢性硬膜下血腫

軽く頭部を打撲して数週間後に片麻痺や物忘れが出てきます

頭部打撲して幸い「たん瘤」だけですんだと思っていたら、時間がたって、頭蓋内に出血が貯留してくる病気です。特に、ご高齢者の方お酒をよく飲む方、持病で「血液サラサラの薬」を内服している方肝機能が悪い方が罹り易いです。まれに若い人でも起きることがあります

慢性硬膜下血腫

頭部打撲の外力が、頭蓋骨の内側にある硬膜を充血させて、血液成分の貯留と被膜形成を引き起こし、被膜内血腫が徐々に増大します。最終的に血腫によって脳が内側に押しやられて、変形を起こし、神経症状が出現してきます。高齢者の方は、軽い頭部打撲でも、必ず脳神経外科を受診しましょう。

なぜ慢性硬膜下血腫の進行は遅いのか?

治療は、血腫の厚さが薄い初期の段階では止血剤や漢方薬の内服で経過観察します。定期的な画像検査を行い、血腫が増大するか、縮小するか見極めます。すでに血腫によって脳が圧迫されていれば、手術治療が行われます。手術は局所麻酔下に、頭皮に約3cmの穿頭(頭蓋骨に小さな穴)を設けます。硬膜と被膜を切開して、血腫を生理食塩水で洗浄し、閉創して手術は終了です。症例によってはシリコン製中チューブを数日間だけ血腫腔に留置します。この手術は局所麻酔で実施できるため、心肺機能が低下している高齢者でも行うことができ、短時間で手術を終えられるメリットがあります。近年、意識レベルや呼吸状態をみて、全身麻酔下で行う施設も増えてきています。 党員でも治療前に十分に検討してから、麻酔方法を選択します。再発することが、10%程度あります。再発症例では同じ手術を再度行うか、全身麻酔下での、開頭血腫除去術を行います。

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症例によっては初めから開頭血腫除去術を選択する場合があります。

長く放置されて、器質化した慢性硬膜下血腫の場合

抜糸する7日から10日程度で退院が可能になります。

治療可能な認知症

特発性正常圧水頭症が見過ごされているかもしれません

年をとって、物忘れ、歩行障害(前かがみで両足の幅が広がるような)、尿失禁を起こす病気の中に、特発性正常圧水頭症(とくはつせい・せいじょうあつ・すいとうしょう)があります。一見、アルツハイマー型認知症に似ていて、ご自身では判断が難しい病気です。この病気は「治療ができる認知症」と言われており、これまでに「年のせいだから仕方がない」、「認知症と言われたので、あきらめた」といって見過ごされてきているかもしれません。歩行しずらくなったり、物忘れが気になるときは、ぜひ一度、脳神経外科の診察を受けられることをお勧めします。

 

 

脳・脊髄は頭蓋脊髄腔の中にあり、その周りは脳脊髄液(髄液)で満たされています。この髄液の循環が異常を起こすと、脳の中にある脳室が拡大して水頭症になります。水頭症の原因は脳出血、脳腫瘍など様々あります。この中でも特発性正常圧水頭症では老齢に伴って発症し、はっきりした原因はまだわかっていません。

正常圧であることから、症状は緩除に進行する

診断と治療までの流れ:

まず、頭部CT検査で脳室拡大の有無を確認します。高齢で認知症と脳室拡大があれば、必ず特発性正常圧水頭症というわけではありません。特発性正常圧水頭症では特徴的な脳室拡大の形がありますので、脳室の形態や精神神経所見を診察します。

 

その後、「疑いあり」と判断されれば、治療が可能であるか診断するために入院が必要な検査を行います。中核になる検査は腰椎穿刺による髄液排出試験です。検査の結果、診断基準を満たせば、シャント手術(短絡手術)を行います。脳室ないしは脊髄腔から腹腔の間を細いシリコン製チューブでつないで、髄液を腹膜に流す手術を行います。 手術は全身麻酔で行います。

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突発性正常圧水頭症の画像診断
タップテスト
V-P シャント術/脳室−腹腔シャント術
特発性正常圧水頭症の術前画像

特発性正常圧水頭症の術前画像。脳室に特徴的な拡大を認める。

椎脊髄腔から腹腔内にシャント・チューブ

腰椎脊髄腔から腹腔内に留置されたシャント・チューブ

バクロフェン髄注療法(ITB療法)

対象疾患は重症な痙縮(けいしゅく、麻痺などにより間接が拘縮・固縮)による異常姿位になります。

脳卒中、脊髄損傷、痙性麻痺、脳性麻痺など脳脊髄の病気によって、筋肉の収縮が強くなりすぎて、自分の意志とは関係なく筋肉が硬くなってしまう状態です。関節が曲がってしまい、まっすぐ上を向いて寝むれない、足が開かないのでおむつ交換しにくい、など療養生活において不便があります。

筋肉を収縮させる神経の働きを弱めるバクロフェンという薬剤を、手術で体内に植え込んだポンプに注入して、持続的に脊髄に投与して痙縮した筋肉を軟らかくする治療です。

 

診断と治療までの流れ:

まず外来受診していただき、バクロフェンが効果あるのか1~2日程度、検査入院していただきます。検査は腰椎からバクロフェンを脊髄腔に1回注射します。

効果があって、副作用がなければ、患者さんやご家族と相談して、腹部の皮下へのポンプの植込とポンプから伸びるカテーテル・チューブを腰椎の脊髄腔に挿入する手術を行います。入院期間は2~4週間です。

  • 3か月以内に1回の頻度で、外来でお薬をポンプに補充します。
  • 約7年に1回はポンプの電池が切れることから、ポンプ交換術が必要です。

バクロフェン髄注療法はいつでも中断・中止可能です。
腰椎脊髄腔にカテーテル・チューブを挿入
腰椎脊髄腔にカテーテル・チューブを挿入
腹部の皮下へのバクロフェン・ポンプ植込術
腹部の皮下へのバクロフェン・ポンプ植込術

先端技術で挑む―青森新都市病院の脳手術(全6回) 東奥日報 夕刊連載

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